マネジメント系

BPR vs BPM:抜本的改革と継続的改善の違い

業務プロセスの改善方法には様々なアプローチがあります。

この記事では、その中でも重要な3つの用語

  • BPR(Business Process Reengineering)
  • BPM(Business Process Management)
  • グループウェア

について、それぞれの意味や違いを解説します。

これらの概念を理解することで、企業全体の業務効率化を目指す際の指針となるでしょう。

BPRとは業務全体を再設計する手法

BPR(Business Process Reengineering)の基本概念

BPR(ビーピーアール:Business Process Reengineering :業務プロセスエンジニアリング)とは、企業全体の業務プロセスを「抜本的」に再設計する手法です。

具体的には、既存の業務プロセスをゼロベースで見直し、部分最適でなく全体最適を目指して根本的に変革することを指します。

これは分業に対する反省から生まれた手法で部分的な最適化ではなく、全体の効率性を最大化するためのアプローチです。

例えば製造業では

  • 製品の設計から生産
  • 販売までの全てのプロセスを再構築し
  • より効率的で効果的な流れを作り出す

といったことがBPRの一環となります。

この方法は、情報システム戦略と同様に、全体最適を考え方の根底に置いていることが重要です。

分業体制からの脱却

BPRは分業体制への反省から生まれました。

分業体制では、各部門が自分たちの生産性を上げることに注力しますが、その結果、企業全体の生産性が悪化することがありました。

BPRは、こうした部分最適から脱却し、全体最適を図るための手法です。

例えば製造部門が

  • 効率を追求して大量生産を行った結果
  • 販売部門での在庫過剰が発生し
  • 最終的にはコストが増加する

というケースが考えられます。

BPRはこのような問題を解決するために、部門間の連携と全体のフローを最適化します。

成功するBPRの要素

BPRが成功するためには、トップマネジメントの強力なリーダーシップが不可欠です。

さらに、従業員全員が変革の重要性を理解し、積極的に参加することが求められます。

例えば、経営者がBPRの重要性を全社に共有し、従業員からのフィードバックを基に継続的に改善を図ることで、BPRは成功に導かれます。

BPMとは業務プロセスを継続的に改善する手法

BPM(Business Process Management)の基本概念

BPM(ビーピーエム:Busiess Process Management:業務プロセス管理)とは、業務プロセスを見直して継続的に改善する手法です。

  • BPRによって再設計された業務プロセスを、
  • 経営環境や技術の変化に対応しながら、
  • 常に最適化し続けることを目的としています。

例えば、新しい技術が導入されるたびに業務フローを見直し、効率化を図ることがBPMの一例です。

これは、業務プロセスの効率を維持し、企業の競争力を高めるために行われる手法といえます。

BPMの特徴とメリット

BPMの最大の特徴は、その「継続的」という点にあります。

BPMは一度業務プロセスを設計した後も、常に改善を続けることが求められます

これにより、柔軟性と効率性を高めることができます。

例えば、マーケティング部門が新しいキャンペーンを実施する際、

  • BPMを活用してプロセスを評価し、
  • 改善点を見つけ出すことで、

次回のキャンペーンをより効果的に実施することができます。

このように、BPMは企業の持続的成長に寄与します。

BPMの導入手法

BPMを導入する際には、

  • まず現状の業務プロセスを詳細に分析し
  • 改善点を明確にして
  • 改善策を実施・効果を定期的に評価していきます。

例えば、業務プロセスの可視化ツールを用いて、現状のフローを把握しボトルネックを特定することが有効です。

BPRとBPMの違い

根本的な変革 vs 継続的な改善

BPRとBPMの最も大きな違いは、そのアプローチにあります。

  • BPRは「抜本的」な変革を通じて劇的な改善を目指すのに対し、
  • BPMは「継続的」に管理と改善を行い、柔軟性と効率性を高めます。

例えば、BPRは企業の大掃除のように、一度に大きな変革を行う手法です。

一方、BPMは毎日の掃除のように、日々の業務を少しずつ改善し続ける手法といえます。

この違いを理解することが重要です。

用語特徴
BPR抜本的な変革を通じて劇的な改善を目指す
BPM継続的な管理と改善を行い柔軟性と効率性を高める
BPRとBPMのアプローチの違い

BPR具体的業務の例

BPRの具体的業務といえば

  • 大規模な組織再編成や新システムの導入など
  • 根本的な業務プロセスの再設計を伴う

といったことが多いです。

例えば、製造業で新しい生産ラインを設計し直すことや、全社的なERPシステムの導入が該当します。

BPM具体的業務の例

一方でBPMは、既存のプロセスを細かく見直し改善を重ねる手法です。

例えば、

  • 毎月の経費精算プロセスを改善し、
  • 処理時間を短縮する

といった取り組みがBPMに該当します。

BPRとBPMの両者の組み合わせで業務を最適化

BPRとBPMは、互いに補完し合う関係にあります。

  • BPRで抜本的な改革を行い
  • その後BPMで継続的な改善を行う

といった流れでで、企業の業務プロセスは最適化されます。

例えば、新しいERPシステムを導入した後、そのシステムを活用して業務プロセスを継続的に改善していくことが理想的です。

このように、BPRとBPMを組み合わせることで、企業の競争力を一層強化することができます。

ワークフローシステムとは定型業務の効率化システム

ワークフローシステムの基本概念

ワークフローシステムとは、

  • 紙の書類を電子化し、
  • 社内の決済申請手続きを効率化するシステムです。

例えば、交通費の申請を自動的に行うシステムが一例です。

このようなシステムを導入することで、業務の効率化、エラーの減少、透明性の向上を実現できます。

業務の効率化とエラーの減少

ワークフローシステムは、

  • 定型業務を自動化することで、
  • 人手による処理を減らし、
  • 効率化を図ります。

例えば、従来手動で行っていた経費精算や勤怠管理をワークフローシステムに置き換えることで、作業時間を大幅に短縮できます。

また、手動によるミスが減少し、データの正確性が向上します。

これにより、業務全体の生産性が向上し、企業の競争力を高めることができます。

透明性の向上と管理の効率化

ワークフローシステムは、業務プロセスの透明性を高めます。

例えば、承認フローが可視化されることで、誰がどの段階で承認を行ったのかが一目でわかります。

これにより、不正や遅延の防止が可能になります。

さらに、管理者はリアルタイムで業務の進捗状況を把握できるため、問題が発生した場合には迅速に対応することができます。

このように、ワークフローシステムは、企業全体の管理効率を向上させる重要なツールです。

グループウェアとは共同作業を複数人で行うソフトウェア

グループウェアの基本概念

グループウェアとは、共同作業を複数人で円滑に行うためのソフトウェアです。

これにより、従業員同士のコミュニケーションを効率化し、業務プロセスの改善を図ることができます。

例えば、

  • Google社の「Google Workspace」や
  • Microsoft社の「Microsoft 365」

上記は有名なグループウェア製品です。

これらのツールを活用することで、社内の情報共有がスムーズになり、業務の効率化が期待できます。

グループウェアの主な機能

グループウェアには、以下のような主要な機能が備わっています:

項目説明
電子メール社内外とのコミュニケーションを支援
ワークフローシステム申請・承認プロセスの効率化
チャットリアルタイムのコミュニケーションを促進
ファイル共有ドキュメントの共有と共同編集
電子掲示板情報共有と議論の場を提供
テレビ会議遠隔地との会議を実現
会議室予約会議室の利用を効率化
スケジュール管理個人およびチームのスケジュールを管理
主なグループウェア機能一覧

グループウェア導入のメリット

グループウェアを導入することで、チームのコミュニケーションが円滑になり、業務効率が向上します。

例えば、

  • プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで共有し、
  • 迅速な意思決定を行うことが可能になります。

さらに、リモートワークの普及に伴い地理的な制約を超えて共同作業を行うことができるため、柔軟な働き方が実現します。これにより、ワークライフバランスの向上にも寄与します。

RPAとはソフトウェアロボットのこと

RPA(Robotic Process Automation)の基本概念

RPAとは、ソフトウェアロボットを用いて事務作業を自動化する技術です。

特に定型的な作業を高速かつ正確に処理することができます。

  • データ入力や集計作業など、
  • 単純で繰り返しの多い業務をRPAに任せることで、
  • 人的リソースをより創造的な業務に集中させることが可能です。

RPAの2つの特徴

RPAの大きな特徴は、「手で触れないソフトウェアロボット」であることです。

例えば、RPAは自動車を組み立てるロボットアームのような物理的な存在ではなく、パソコン内で動作するプログラムです。

もう一つの特徴は、「定型的な作業しかできない」という点です。

RPAは、あらかじめ設定されたルールに従って動作するため、業務内容の変更や複雑な判断が必要な業務には向いていません。

特徴説明
手で触れないソフトウェアロボットRPAは自動車を組み立てるロボットアームのような物理的存在ではない
定型的な作業しかできないあらかじめ設定されたルールに従って動作するソフトウェアロボット
RPAの特徴2つ

RPAの具体的な利用例

RPAは、例えば金融機関での口座開設手続きや、請求書の処理などで利用されています。

これにより、人手不足や人件費の高騰に対応しつつ、業務の効率化とコスト削減を実現しています。

ITによるその他の業務の効率化

テレワークの推進

テレワークとは、ITを利用して勤務時間や就業場所に制限されずに働くことを指します。

これは、仕事と生活を両立するワークライフバランスを実現するための働き方の一つです。

シェアリングエコノミーの活用

シェアリングエコノミーとは、物・家・乗り物・知識などの個人や企業が持つ遊休資産をインターネットを通じて他の個人や企業と共有する仕組みです。

資源の有効活用とコスト削減が可能となります。

用語説明
テレワークITを利用して勤務時間や就業場所に制限されずに働くこと。仕事と生活を両立するワークライフバランスを実現するための働き方の一つ
シェアリングエコノミー物・家・乗り物・知識などの個人や企業が持つ遊休資産をインターネットを使って他の個人や企業と共有する仕組み
シャリングエコノミーの事例

まとめ

この記事では、業務プロセスの改善方法として、

  • BPR(Business Process Reengineering)
  • BPM(Business Process Management)
  • グループウェア

を紹介しました。

BPRは抜本的な変革を目指す手法であり、BPMは継続的な改善を重視する手法です。

また、ワークフローシステムやRPA、テレワークなどの技術も取り上げ、業務の効率化に寄与するさまざまな方法を解説しました。

これらの概念やツールを理解し、適切に活用することで、企業は業務効率を高め、競争力を強化することができます。

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