ストラテジ系 企業と法務

雇用契約・労働者派遣契約・請負契約の違いを学ぶ

私たち労働者に深く関係している法律である、

上記の各違いについて詳しく説明します。

労働基準法とは

労働基準法の概要

労働基準法とは、労働条件の最低基準を定めた法律です。

この法律は、労働者を保護するために、

  • 労働時間
  • 休憩時間
  • 賃金
  • 休暇

などの労働条件の最低基準を法律で定めています。これにより、労働者の健康と生活を守ることが目的とされています。

労働基準法に伴う3つの契約

企業が経営資源の一つである「ヒト」を活用する際の契約には、次の3種類の契約が存在します。

名前説明
雇用契約労働者が会社から直接雇用と指示を受ける契約。労働者と企業の間で雇用契約書を作成し雇用契約を結ぶ。
労働者派遣契約労働者が派遣元から雇用を受け派遣先から指示を受ける契約。この契約では派遣先(お金を出す会社)と派遣元(お金をもらう会社)の間で労働者派遣契約書を作成し、労働者派遣契約を結ぶ。派遣会社に雇用される労働者を「派遣労働者」という。
請負契約受注者(ベンダー)が仕事の完成を約束し、発注者(ユーザー)がその仕事に報酬を支払う契約。受注者と発注者の間で請負契約書を作成し請負契約を結ぶ。
労働基準法に伴う3つの契約

ユーザとベンダーとは?

ユーザとベンダーの違いについては以下のとおりです。

  • 発注者のことをユーザ(システムを使う側)
  • 受注者のことをベンダー(システムを作る側)

と呼びます。

これらの用語は、特にIT業界において重要な役割を果たします。

雇用契約・労働者派遣契約・請負契約の違い

雇用契約とは

雇用契約における「労働者」とは、就業形態に関わらず企業と雇用契約を結んでいるすべての人を指します。

就業形態には、

  • 正社員
  • 契約社員
  • アルバイト
  • パートタイマー

上記形態がすべて含まれます。

つまり、会社と雇用関係にある人です。

雇用契約では、契約した企業から雇用と指示を受けます。

労働者派遣契約とは

労働者派遣契約では、労働者は派遣先から指示を受けますが、給与は雇用関係のある派遣元から支払われます

派遣会社に雇用される労働者を「派遣労働者」と呼びます。

この契約形態は、多くの企業が一時的な人材不足を補うために利用しています。

請負契約とは

請負契約と労働者派遣契約の違いは、指示者と雇用主の違いにあります。

請負契約では、労働者と発注者の間に直接的なやり取りは一切ありません

仕事の完成責任を負うのは請負会社であり、発注者からの直接の指示はありません。

請負契約の特徴(労働者派遣契約との違い)

労働者派遣契約と請負契約には、次の大きな違いがあります。

  • 労働者派遣契約では、派遣先の会社が労働者に指示を出せる。
  • 請負契約では、発注者の会社は労働者に指示を出せない。

上記に起因した請負契約には、次のとおり2つの特徴があります。

特徴説明
完成責任請負契約では、発注者は労働者に直接指示を出せないため、仕事の完成をもって報酬を支払う約束になります。
契約不適合責任請負契約では、発注者は労働者に直接指示を出せないため、完成した仕事に契約と適合しない部分があった場合の責任は指示を出した請負会社が負うことになります。
請負契約の特徴(労働者派遣契約との違い)

著作権の帰属先はどうなっているのか

プログラムは著作権法の保護対象である」ことについて、著作権は労働契約とも密接に関係しています。

ここでは、著作権と労働契約の関連性について解説します。

契約形態によって、著作権の帰属先(著作権の権利者)が変わるので注意が必要です。

各労働契約における

  • 完成責任
  • 契約不適合責任
  • 著作権

といった権利の違いは、どのように生じるか内訳は以下のとおりです。

労働契約の種類指示(指揮命令権)完成責任契約不適合責任著作権
個人的な趣味自分自身なしなし自分自身(個人)
雇用契約雇用主なしなし雇用主
労働者派遣契約派遣先なしなし派遣先
請負契約請負会社ありあり請負会社
著作権の帰属先一覧

個人的な趣味やプライベートでプログラムを作成した場合、そのプログラムの著作権は個人に帰属します。

しかし、業務でプログラムを作成した場合は、労働契約の内容によって著作権の帰属先が異なります。どこに著作権が帰属するのか覚えておくと良いでしょう。

労働関連法規に関するその他の用語

労働関連法規におけるその他の用語は以下のとおりです。

名称説明
準委任契約法律以外の業務を依頼する契約。請負契約との違いは「完成責任と契約不適合責任免責がない」という点。また、労働者派遣契約との違いは「発注者に指揮命令権がない」という点。法律業務を依頼する契約のことを「委任契約」と呼ぶ。
フレックスタイム制始業時間と就業時間を労働者が決められる制度。このうち、1日のうちで必ず就業しなければならない時間帯を「コアタイム」と呼ぶ。
裁量労働制業務の遂行方法勤務時間などを労働者の裁量にゆだねて、実際の労働時間に関わらず賃金を支払う制度。
労働関連法規に関するその他の用語一覧

まとめ

労働基準法、労働者派遣契約、請負契約は、私たちの労働環境に直接関係する重要な法律です。

これらの法律を理解することで、労働者としての権利や義務を正しく認識し、適切な労働条件を確保することができます。

  • 労働基準法とは、労働時間・休憩時間・休暇など、労働条件の最低基準を定めた法律
  • 労働者派遣契約では、派遣先の企業が労働者に指示を出せる
  • 請負契約では、発注者は請負会社の社員(労働者)に指示はだせない
  • 著作権の帰属先は、労働契約ごとに異なる
  • フレックスタイム制とは、始業時間と終業時間を労働者が決められる制度
  • 裁量労働制では、業務の遂行方法や勤務時間など労働者の最良に委ねる働き方である

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