本記事では
- 「BSC」
- 「CSF」
- 「KPI」
について解説します。
企業活動を継続するにはさまざまな情報を管理する必要がありますが、これらすべてを手作業で行っていては時間が足りません。最適なシステム活用を進めることが大切です。
事業戦略の指標となるBSC・CSF・KPI
企業活動の成功には、事業戦略をしっかりと評価し、管理するための指標が必要です。
これらの指標にはBSC、CSF、KPIが含まれます。以下では、それぞれの指標について詳しく解説します。
BSCとは業績評価を行う手法
BSC(Balanced Scorecard:バランススコアカード)とは、
- 「財務」
- 「顧客」
- 「業務プロセス」
- 「学習と成長」
といった4つの視点から業績評価を行う手法です。
BSCの最大の特徴は、経営状況の評価基準に財務以外の視点を取り入れている点にあります。
視点 | 説明 |
---|---|
財務 | 財務諸表などの視点から評価する |
顧客 | お客様の視点から評価する |
業務プロセス | 製品の品質や業務内容から評価する |
学習と成長 | 従業員と会社の能力から評価する |
会社の収支状況は財務諸表で確認できますが、永続的に経営を続けていくためには財務だけでなくその他の状態も重要です。
例えば、社員のモチベーションなどです。
モチベーションは財務諸表には記載されませんが、長期的に見れば会社にとってとても重要な要素の1つです。
このように財務諸表だけでは経営戦略を正しく評価できないことから、1992年にアメリカでBSCが誕生しました。
BSCはボウリングのスコアカードのように項目別に点数を付ける手法です。下記表は、BSCで業績を飛躍的に伸ばしたサウスウエスト航空を参考に作成したSAMPLEです。
視点 | CSF | KPI | 得点 |
---|---|---|---|
財務 | 少ない機体 | 飛行機のリースコスト20%削減 | 18%削減 |
顧客 | 常連客確保 | 顧客定着率90%以上 | 93% |
業務プロセス | 時間厳守 | 定刻離着陸90%以上 | 108% |
学習と成長 | 従業員のモチベーション向上 | クルーの持株比率70%以上 | 55% |
CSFとは重要成功要因のこと
CSF(Critical Success Factors:重要成功要因)とは、戦略目標を達成するために必要となる具体的な要因を指します。
戦略目標を達成するためには様々な条件をクリアする必要がありますが、CSFは数多の指標の中で最も重要なものを設定します。
CSFで設定される項目は「定性的」なもの、つまり数字で表すことができないものです。
例えば、社員のモチベーションなどもCSFに設定できます。
KPIとは重要業績評価指標のこと
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、戦略目標の達成状況を表す指標のことです。
定性的なCSFを評価するために「定量的」なKPIを設定します。
定量的とは数字で表すことができるものです。
例えば、離職率などがKPIになります。戦略目標というゴールに対しどれだけ進んでいるか定期的にKPIを見て確認します。
業績拡大に重要な4つの経営管理システム
会社経営を進めるうえで欠かせない
- 「ERP」
- 「CRM」
- 「SFA」
- 「SCM」
といったシ4つのステムがあります。以下で各システムについて解説します。

ERPとは企業資源計画のこと
ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)とは、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を統合的に管理する手法です。
例えば、各部署が個別に情報を持っている場合、経営者がある情報を知ろうとした場合にどの部署に確認すれば良いか分かりません。
一方でERPを導入することで、持っていた情報を一元管理することが可能です。
部署を跨いで情報を参照・活用することができ、縦割りになっていた業務を統合的に管理することができます。
CRMとは顧客関係管理のこと
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)とは、顧客との良好な関係を築くことで長期的な利益を得る手法です。
特に既存顧客と良好な関係を築くための手法です。
CRMでは顧客の個人情報や購買履歴などの情報を一元管理することで、セールス・マーケティング・カスタマーサポート(サービスデスク)といった顧客と接点のある部門で顧客情報を共有することが可能です。

SFAとは営業支援システムのこと
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)とは、営業ノウハウを共有するためのシステムです。
主に営業部門で使うことができます。
SFAを使うことで各営業担当者が持っていた営業情報を一元化できるため、より効率的に営業活動を行うことが可能です。
CRMが顧客維持を目的とし顧客情報を一元化するのに対し、SFAは見込み客を顧客に変えることを目的として営業情報を一元化します。
SCMとは供給資源管理のこと
SCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)とは、社内だけでなく社外も含めた調達・生産・販売などのプロセス全体の最適化を行う手法です。
例えば、自動車製造の場合、複数の企業や物流業者が協力して製品を完成させます。
従来は関連する各企業が個別に生産管理を行ってきましたが、SCMを使うことで企業同士が鎖のようにつながり供給プロセス全体を最適化することが可能です。
その結果、在庫数を最適な状態に保つことができたり、より効率的に企業同士の連携ができます。

ERMとSCMの違いとは
ERMとSCMの考え方は似ていますが、大きく異なる点として
- 「ERMは社内の最適化」
- 「SCMは社外も含めたプロセス全体の最適化」
といった違いでしょう。
他にも重要な用語を紹介しておきます。
用語 | 説明 |
---|---|
ナレッジマネジメント | 個人の知識や情報を組織全体で共有すること |
TOC | 全体のパフォーマンスが特定のボトルネックによって制限されているという理論。「Theory Of Constraints(制約条件理論)」の略語。ボトルネックを解消することで全体のパフォーマンスを上げることが可能 |
まとめ
事業戦略と経営管理システムについて理解を深めることで、企業はより効果的に業績を評価し、改善することができます。
BSC、CSF、KPIはそれぞれ異なる視点から企業のパフォーマンスを評価するための重要な指標です。
また、ERP、CRM、SFA、SCMといった経営管理システムを活用することで、企業は効率的に経営資源を管理し、業績を向上させることができることでしょう。
- BSCとは、「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点から業績評価を行う手法である
- CSF (重要成功要因)とは、戦略目標を達成するために必要となる具体的な要因である
- KPI(重要業績評価指標)とは、戦略目標の達成状況を表す指標である
- ERPとは、経営資源を統合的に管理する手法である
- CRMとは、顧客との良好な関係を築くことで長期的な利益を得る手法である
- SFA(営業支援システム)とは、営業情報を一元化して、効率的に営業活動を行うための支援システムである
- SCMとは、調達・生産・販売などのプロセス全体の最適化を行う手法である