企業が目指すのは、単なる利益の追求ではなく、社会に貢献し、持続的な成長を遂げることです。
その羅針盤となるのが、経営資源と呼ばれる要素です。
経営資源とは企業の根幹を支える要素である
経営資源とは、企業が事業を行う上で必要となる資源を指します。
- ヒト
- モノ
- カネ
- 情報
という4つの要素が代表的ですが、近年では
- 時間
- 知的財産
も含めた6つの要素として考えることもあります。
これらの資源を効果的に活用することで、企業は競争優位性を築き、持続的な成長を実現することができます。
4大経営資源の特徴と活用例
- ヒト(人材): 従業員の知識、スキル、経験は、企業の最も重要な経営資源です。採用、教育、研修、モチベーション向上などを通じて、人材の育成と活用が企業の成長を支えます。
- 活用例: 独自の技術を持つエンジニア、顧客ニーズを理解した営業担当者、問題解決能力に優れたリーダーなど。
- モノ(施設・設備): 工場、店舗、機械設備、ITインフラなどは、製品やサービスの生産や提供に不可欠な資源です。適切な投資とメンテナンスを通じて、モノの効率的な活用が求められます。
- 活用例: 最新の生産設備、顧客満足度を高める店舗デザイン、業務効率を上げるITシステムなど。
- カネ(資金): 企業活動に必要な資金は、設備投資、人材育成、マーケティング活動など様々な場面で必要です。適切な資金調達と管理が、企業の安定経営を支えます。
- 活用例: 銀行からの融資、株式市場での資金調達、内部留保の活用など。
- 情報(顧客データ、ノウハウ): 顧客情報、市場動向、技術情報などは、企業の戦略立案や意思決定に欠かせない資源です。情報の収集、分析、共有が、企業の競争力を強化します。
- 活用例: 顧客ニーズを反映した商品開発、競合他社との差別化につながる技術開発、市場動向に基づくマーケティング戦略など。
HRM(人的資源管理):ヒトを戦略的に活用し企業を成功に導く
「HRM」は、Human Resource Managementの略称で、日本語では「人的資源管理」と訳されます。
HRMとは、ヒトを単なる労働力ではなく
- 経営資源の一つと捉え
- 戦略的に活用することで
組織の目標達成を目指すマネジメント手法です。
ヒト以外の経営資源3つ(モノ・カネ・情報)との最大の違いは?
ヒトは「訓練や教育で価値を高めることができる」ことでしょう。
HRMの目的
HRMの目的は、組織の目標達成に貢献できる人材を育成・確保し、最適な配置を行うことで、組織全体の活性化と業績向上を実現することです。具体的には、以下のような目的が挙げられます。
- 優秀な人材の獲得・育成: 採用、教育、研修などを通じて、組織に必要なスキルや経験を持つ人材を獲得・育成します。
- 従業員のモチベーション向上: 報酬制度、福利厚生、キャリアパスなどを通じて、従業員のモチベーションを高め、エンゲージメントを向上させます。
- 人材の最適な配置: それぞれの従業員の能力や経験を活かせるポジションに配置することで、個々の能力を最大限に発揮させます。
- 組織の活性化: コミュニケーション活性化、チームワーク強化などを通じて、組織全体の活性化を促進します。
- 企業文化の醸成: 共通の価値観やビジョンに基づいた企業文化を醸成することで、組織の一体感を高めます。
OJTとOff-JT:効果的な人材育成のための二つの柱
企業にとって、人材育成は競争力を維持し、持続的な成長を遂げるために不可欠な要素です。その中でも、OJTとOff-JTは、人材育成における代表的な手法として広く活用されています。
OJTとは?
OJTは、On-the-Job Trainingの略称で、職務中に先輩や上司から直接指導を受けながら、実践的なスキルや知識を習得する人材育成手法です
実際の業務の中で行われるため、即効性があり、実践的なスキルを身につけることができます。
Off-JTとは?
Off-JTは、Off-the-Job Trainingの略称で、職務から離れた場所で研修やセミナーなどを通して、体系的な知識やスキルを習得する人材育成手法です。
座学形式で行われることが多く、体系的な知識を効率的に学ぶことができます。
項目 | OJT | Off-JT |
---|---|---|
特徴 | ・実践的なスキルを習得できる ・即効性がある ・モチベーション向上につながる ・チームワークを強化できる | ・体系的な知識を習得できる ・最新の知識やスキルを学べる ・幅広い人材を育成できる |
注意点 | ・指導者側の負担が大きい ・体系的な指導が難しい ・モチベーションの維持が難しい | ・実践的なスキルを習得しにくい ・即効性がない ・モチベーションの維持が難しい |
OJTとOff-JTの使い分け
OJTとOff-JTはそれぞれ異なる特徴を持つため、効果的に組み合わせることが重要です。一般的には、まずOff-JTで体系的な知識を習得し、その後OJTで実践的なスキルを身につけるという流れが有効です。
eラーニングとアダプティブラーニング:革新的な学習体験を実現するふたつの手法
IT技術の発展に伴い、従来の画一的な教育方法から脱却し、個々の学習者に最適な学習環境を提供する
- eラーニング
- アダプティブラーニング
といった革新的な学習手法が注目を集めています。
eラーニングとは?
eラーニングとは、PCやインターネットなどITを活用した学習方法です。
時間や場所に縛られず、自分のペースで学習できる点が大きな特徴です。近年では、スマートフォンやタブレット端末を用いたモバイルラーニングも普及しており、より手軽に学習できるようになっています。
アダプティブラーニングとは?
アダプティブラーニングは、ITを用いることで客観的なデータに基づいて、生徒に最も適した学習内容を提供する学習方法です。
具体的には、
- テストや課題の結果
- 学習履歴などを分析し
個々の生徒の理解度や学習スタイルに合わせた学習コンテンツを提供します。
eラーニングとアダプティブラーニングの使い分け
eラーニングとアダプティブラーニングは、それぞれ異なる強みと弱みを持つ学習手法です。
eラーニングは、
- 時間や場所に縛られず、
- 自分のペースで学習できる
という利点があります。一方、アダプティブラーニングは、
- 個々の生徒に最適な学習を提供できる
という利点があります。
項目 | eラーニング | アダプティブラーニング |
---|---|---|
メリット | 時間や場所に縛られない 自分のペースで学習できる 多様な教材を利用できる 学習履歴を記録できる | 個々の生徒に最適な学習を提供できる 学習意欲を高めることができる 学習効果を可視化できる |
デメリット | 学習意欲の維持が難しい ITリテラシーが必要 対面でのコミュニケーションが不足する | システム開発・導入コストが高い 大量のデータが必要 教員の負担が増加する |
HRテック:人事部門の未来を切り拓く革新的なテクノロジー
近年、
- Fintech(フィンテック:金融)や
- EdTech(エドテック:教育)
など、様々な分野でテクノロジーが革新を起こしています。
人事分野も例外ではなく、HRテックと呼ばれるテクノロジーが急速に進化し、人事部門の業務効率化や人材育成の強化に貢献しています。
HRテックとは?
HRテックとは、Human Resources Technologyの略称で、人事部門の業務を効率化・高度化するためのテクノロジーを指します。
具体的には、
- AI
- ビッグデータ
- クラウドコンピューティング
などの技術を活用することで、採用・育成・評価・労務管理・人事部門の様々な業務を自動化・支援することができます。
HRテックの代表的なツール
HRテックには、以下のような代表的なツールがあります。
名称 | ツール概要 |
---|---|
採用管理システム | 応募者情報の管理、面接スケジュールの調整、採用結果の分析などを行えます。 |
eラーニングシステム アダプティブラーニング | オンラインでの研修や教育を提供できます。 |
パフォーマンス管理システム | 従業員の目標設定、評価、フィードバックなどを支援します。 |
勤怠管理システム | 従業員の出退勤時間の管理、残業時間の計算、給与計算などを支援します。 |
タレントマネジメントシステム | 従業員のスキルや経験を可視化し、人材育成やキャリアプランニングなどを支援します。 |
まとめ
- OJTとは、実務の実践を通じた教育訓練
- Off-JTとは、仕事を離れて行われる教育訓練
- HRテックとは、HRMのうちAIやlotといったITを活用する手法