企業の成長と発展を支える基盤となるのが、経営組織です。
様々な経営組織のことを「組織形態」と呼び、企業の戦略や事業内容・規模に合わせて構成されています。
本記事では、代表的な5つの経営組織形態
- 職能別組織
- 事業部制組織
- マトリックス組織
- プロジェクト組織
- 持株会社
について、それぞれの概要や強みや弱み、そして具体的な活用例などを分かりやすく解説します。
1. 職能別組織(機能別組織)
「職能別組織」とは、業務の専門性に基づいて分けられた組織形態です。
例えば、
- 営業
- 製造
- 人事
などの部門ごとに分かれています。
この形態は、それぞれの部門が特定の職能に集中できるため、専門知識やスキルの向上が期待できます。
- 仕事の種類で部門を分け
- 社員の専門性を活かせること
上記が最大のメリットでしょう。
職能別組織のメリット
職能別組織のメリットは、専門分野ごとのスキルの深耕が可能である点です。
例えば、
- 人事部門は採用や研修に専念し
- 営業部門は売上拡大に注力できます。
また、各部門の専門性が高まることで、全体の業務効率が向上します。
職能別組織のデメリット
職能別組織のデメリットとして、部門間の連携が不足する可能性があります。
例えば、
- 営業部門と製造部門が情報共有を怠ると
- 製品の供給に問題が生じることがあります。
このため、組織全体の一体感を保つための工夫が必要です。
職能別組織の意思決定は経営者?
職能別組織では事業が1つしかないので、経営者が意思決定を行う。
2. 事業部制組織
「事業部制組織」は、事業部を単位として構成する組織です。
例えば、自動車部門と電機部門など、それぞれの事業部が独立して運営されます。
「事業部制組織」は、各事業部が市場の変化に迅速に対応できる点が特徴です。
事業部制組織のメリット
事業部制組織のメリットは、各事業部が自主的に運営できることです。
例えば、電機部門が新しい技術を迅速に導入することで市場競争力を高めることができます。
また、各事業部の責任が明確になるため、業績評価がしやすくなります。
事業部制組織のデメリット
デメリットとしては、事業部ごとの競争が激化し、全体の協調が損なわれることがあります。
例えば、自動車部門と電機部門が資源の奪い合いをすることで、企業全体の成長が停滞する可能性があります。
事業とは?
- 事業とは、複数の業務のこと
- 業務とは、手作業とシステムのこと
- システムとは、ハードウェアとソフトウェアのこと。
※ハードウェアはパソコンなど手で触れるもの、ソフトウェアはアプリなど。
事業部制組織の意思決定者は経営者でない?
事業部制組織では事業が複数あるため、すべての意思決定を経営者一人が行うことはできません。
そのため意思決定権は事業部に持たせています。
※ただし、赤字になってもしょうがないので「利益責任」も負わせていることがほとんど。
3. マトリックス組織
「マトリックス組織」は、職能別組織と事業部制組織を組み合わせた形態です。
例えば、プロジェクトごとに異なる職能の専門家が集まり、共同で業務を進めます。
- 職能別組織
- 事業部制組織
上記を組み合わせたような組織形態であり、両組織のメリットを享受できます。
柔軟な対応が求められるプロジェクトに適しています。
マトリックス組織のメリット
マトリックス組織のメリットは、異なる専門分野の知識を結集できる点です。
例えば、マーケティング部門と技術部門が協力することで、革新的な製品を開発することができます。
また、迅速な意思決定が可能になる点も大きな利点です。
マトリックス組織のデメリット
マトリックス組織のデメリットは、複数の上司から指示を受けることで混乱が生じやすい点です。
例えば、プロジェクトリーダーと部門長の意見が対立すると、担当者はどちらの指示に従うべきか迷うことがあります。
マトリックス組織と事業部制組織の違いとは
マトリックス組織と事業部制組織の明確な違いは「所属部署数」です。
項目 | マトリックス組織の場合 | 事業部制組織の場合 |
---|---|---|
所属部署 | ・国内事業部 ・営業部 | ・国内事業の営業部 |
所属部署数 | 2つ | 1つ |
部署間の情報共有 | スムーズ | 共有しづらい |
上記のとおり、事業部制組織は所属部署が1つのため、ノウハウ共有がしにくいといったデメリットがあります。
一方、マトリックス組織では、組織の中で部署を横断できるのでノウハウ共有がスムーズに行われます。
4. プロジェクト組織
プロジェクト組織とは、特定の目的達成のために一時的に編成される組織形態です。
例えば、新製品の開発や市場調査のためのチームが挙げられます。サッカーの日本代表のようなイメージですね。
この形態は、期限が決まったタスクに対して最適な人材を集めることができます。
プロジェクト組織のメリット
プロジェクト組織のメリットは、
目標達成に向けた集中力が高まる
といった点です。
例えば、プロジェクトメンバー全員が特定の目標に向かって一丸となるため、高い成果を期待できます。また、期限があるため効率的に業務を遂行することができます。
プロジェクト組織のデメリット
デメリットとしては、
プロジェクト終了後のメンバーの配置に問題が生じる
といったことがあります。
例えば、プロジェクトが成功しても、その後の役割が不明確になることがあります。このため、プロジェクト後の人員配置についても計画が必要です。
5. 持株会社
持株会社とは、子会社の株式を保有する親会社のことです。
例えば、大企業が複数の子会社を持つ形態がこれに該当します。
各子会社が独自に運営されるため、企業の買収や合併がしやすくなり柔軟な経営が可能です。
持株会社のメリット
持株会社のメリットは、
リスク分散が図れる
といった点です。
例えば、一つの子会社が業績不振でも、他の子会社が補うことで全体の安定を保てます。また、各子会社の経営に専門家を配置できるため、効率的な運営が可能です。
持株会社のデメリット
持株会社のデメリットは、
親会社と子会社の連携が難しくなる
といった点です。
例えば、親会社が統制を強めすぎると、子会社の自主性が損なわれることがあります。このため、適度なバランスが求められます。
組織形態での経営陣の2つの役職名CEO・CIOの違い
略称・役職名 | 役割 | 責任範囲 |
---|---|---|
CEO 最高経営責任者 Chief Executive Officer | 企業全体の戦略的経営および運営の最終責任者 | 企業全体の経営、方針決定、企業価値の向上 |
CIO 最高情報責任者 Chief Information Officer | 企業の情報技術(IT)戦略の立案・実行責任者 情報システムの統括 | ITインフラ、情報システムの管理と改善、デジタルトランスフォーメーションの推進 |
まとめ
経営組織の形態は、企業の戦略や目標に応じて選択されるべきです。
職能別組織、事業部制組織、マトリックス組織、プロジェクト組織、持株会社それぞれにメリットとデメリットがあり、適切な運用が求められます。
CEOやCIOなどの経営陣は、これらの形態を理解し、最適な組織運営を目指すことが重要です。
- 職能別組織とは、業務を専門的な機能に分けて各機能を単位として構成する組織
- 事業部制組織とは、製品・顧客・地域別などを単位とし、事業の利益責任をもった組織
- マトリックス組織とは、社員が職能部門・事業部門の両方に属する組織
- プロジェクト組織とは、各部門から専門家を集めて結成する一時的な組織
- 株式会社とは、子会社の株式を保有する親会社
- CEOとは、経営の最高責任者
- CIOとは、情報システムを統括する最高責任者