回線交換方式とは
- 一定の回線を確保して通信を行う方式
といった電話システムに代表される通信方式の名称を指します。
回線を確保...なんだそりゃ
回線交換方式について身近な例で分かりやすく図解で解説します。
回線交換方式とは?特徴や使われ方をわかりやすく図解で解説回線交換方式は片側車線通行止めのイメージ
回線交換方式は、
- 通信中に一方の端末が回線を占有するため
- 他方の端末はその間通信できなくなる
という特徴があり、片側車線通行止めのイメージに近い通信方式です。
一方通行っていうこと?
A端末→B端末へしか通信できないのかな
とはいえ一方通行の通信方式ではありません。
回線交換方式の基本的な仕組み
回線交換方式の基本的な仕組みは、
- 通信を行う前に回線を確保し
- 通信が終了したら回線を解放する
といった通信方法です。
通信が一方通行で行われるのではなく、回線交換方式で接続されている間は他端末から通信ができないといった状態です。
要約すると
- 回線交換方式でデータ通信が行われている場合は
- 通信回線が独占される
ことになります。
回線交換方式はデータ通信の一方通行ではないんだね
基本的な仕組みを踏まえ、回線交換方式の特徴と使われ方についても掘り下げてみました。
回線交換方式の主な特徴5つ
回線交換方式の特徴を5つにまとめました。
- 回線を占有することができるため、通信の安定性が高い。
- 一度に多くの通信を受け付けられないため、伝送効率が低い。
- 回線を専有するため、通信路を常時確保できる。
- 複数の通信路が必要な場合は、専用回線を新たに敷設する必要がある。
- 電話回線などのアナログ通信に向いており、デジタル通信には向かない。
各特徴の内容は以下の通りです。
特徴 | 内容 |
---|---|
回線を占有 | 通信中は回線を占有するため、他の通信はできない |
通信の品質が一定 | 一度確立された通信は、品質が一定である |
伝送効率が悪い | 回線を占有するため、一度に多くの通信ができず伝送効率が悪い |
通信路の確保が必要 | 通信路を確保しなければならないため、事前に回線の確保が必要である |
一対一の通信 | 通信は一対一で行われるため、同時に多数の通信を行うことはできない |
同時に2つの処理ができないことが、回線交換方式の特徴と言えそうだな
回線交換方式の使われ方・現存のサービス5つ
回線交換方式が使われているサービスは以下のとおりです。
- 電話回線
- ISDN
- CATV回線
- 専用回線
- 交換機
サービスの特徴は以下のとおりです。
サービス名 | 特徴 |
---|---|
電話回線 | 回線交換方式を使用し、通話中は一つの回線が占有される。一部地域では現在でも使われているが、多くはIP電話に移行している。 |
ISDN | 統合サービスデジタルネットワークで、回線交換方式を使用し、回線の占有によって通信を行う。 |
CATV回線 | 一部のCATV回線では回線交換方式を使用し、テレビの視聴やインターネット接続に利用される。 |
専用回線 | 企業や団体が独自の通信網を構築するために使用され、回線交換方式を使用することがある。 |
交換機 | 通信事業者が提供する交換機では、回線交換方式を使用し、音声通話やデータ通信を行う。ただし、近年はパケット交換方式を採用する機種が増えている。 |
回線系で使われているサービスが多い印象です。
一般ユーザっていうより、公共で使われている通信方式なんだろうな
固定電話は代表的な回線交換方式
代表的な回線交換方式のデータ通信である固定電話は、
- 音声をマイクでアナログ信号に変えて、
- アナログ信号を電線を通じて
- 通話相手のスピーカーから音を出す
といった仕組みです。
この場合、通話相手と電線でつながっている必要があります。
また「交換台」にとよばれる電話線の収束機によって、たくさんの地域の人と通話できるようになっています。
交換台はエリアごとに接続処理を行うため、日本全国・海外もカバーできるのだ
回線交換方式の仕組みによって局番ができている
電話番号が、
- 市内局番
- 市外局番
- 国番号
といった階層構造になっているのは、エリアごとに設置さえる交換台(交換機)によって識別されているからなんですね。
だから市外局番がエリアごとで異なるんだね
現在主は電話番号の信号を識別する仕組みができている
現在は、電話番号の信号(バルス・ストーン)を識別しています。
機械またはコンピュータが接続処理を行い、途中の回線種ごとに
- マイクロ波など無線技術
- 光回線にはデジタル信号
といった技術が使われています。
ただし、基本原理は同じで1対1の占有通信にてデータ通信が行われています。
ここまで回線交換方式について解説しましたが、実は回線交換方式は旧来のデータ通信方式です。
盛んに使われている技術なのに旧来のデータ通信方式だと...!?
現在は「パケット交換方式」というデータ通信方式が主流です。
回線交換方式とは?特徴や使われ方をわかりやすく図解で解説パケット交換方式はパズルのようなイメージ
パケット交換方式はデータ通信における通信方式の一つで、
- 送信するデータをパケットと呼ばれる小さな塊に分割し、
- それぞれを独立して送信する
データ通信方式です。
1つの完成されたデータを分割して送信している状態で、パズルが組み上げられるイメージを想定すると分かりやすいです。
パケットとはデータ単位を指す
パケットはデータ単位のことです。
サイズはプロトコルによって決まっていますが、一般的には
1パケットサイズ:ヘッダー・ペイロードを合わせて1,500byte(バイト)
となっています。
1パケットは1500バイト...
2バイト=全角、なので1パケット=約750文字ほどのデータ容量です
パケット交換方式では、
- 必要なデータサイズをそのまま送信するのではなく、
- 一定のサイズに分割して送受信する
といったデータ通信を行います。
パケット交換方式の基本的な仕組み
パケット交換方式の基本的な仕組みは以下のとおりです。
- 通信データを一定の大きさに分割する
- パケットと呼ばれる小さなデータ単位に分割する
- 各パケットには送信元と宛先のアドレス情報が含まれる
- パケットはネットワーク上を独立して転送される
- 宛先までのルートにおいて各パケットは別々に転送される
- 宛先に到着したパケットは再び結合される
- 通信データが復元され、受信側に届けられる
パズルの1ピースがパケットとイメージできれば分かりやすいです。以下にまとめました。
以下が表形式のまとめです。
パケット交換方式 | パズル |
---|---|
パケットの送信順はランダムである | パズルの組む順番がランダム |
パケットが再び結合される | パズルが組み上がって1つの作品になる |
といった感じですね。
パズル1つ1つがパケットだと思うと分かりやすいね
ではパケット交換方式の特徴はなんでしょうか?
パケット交換方式の主な特徴5つ
パケット交換方式の主な特徴は以下のとおりです。
- パケット交換方式は回線交換方式よりも柔軟性が高く、効率的な通信が可能である。
- パケット交換方式はネットワーク障害に対する回復力が高い。
- パケット交換方式は複数の通信を同時に処理できる。
- パケット交換方式は異なるネットワーク間での通信にも利用できる。
- パケット交換方式は、データを分割して送信するため、大容量データの送信にも適している。
回転交換方式のデメリットを補っている感じがしませんか?
パケット交換方式の特徴内容を一覧に。
特徴 | 内容 |
---|---|
高速 | パケット単位で転送されるため、複数のユーザーが同時に通信しても速度が落ちにくい |
柔軟性が高い | パケットの組み立てや転送方法を自由に設定できるため、様々な種類の通信に対応できる |
コストが低い | 回線交換方式に比べてコストが低く、多数のユーザーに向けた大量の通信に適している |
冗長性が高い | パケット単位で転送されるため、途中で通信が途切れた場合でも、転送されたパケットから再開することができる |
分散制御が可能 | 各ノードが独自にパケットを処理するため、分散制御が可能である |
パケット交換方式はデータを小さな塊に分割して送信するから、回線交換方式よりデータ通信速度が速いのか
順序が入れ替わることがあるみたいだけどね
基本的に回転交換方式の弱い部分が、パケット交換方式では強みになっているんですね。
代表的なサービスを3つご紹介します。
パケット交換方式の使われ方と代表的なサービス3つ
パケット交換方式の使われ方として代表的なものは以下のとおりです。
- インターネット
- VoIP(Voice over IP)
- VPN(Virtual Private Network)
以下にインターネット、VoIP(Voice over IP)、VPN(Virtual Private Network)の特徴を表形式でまとめました。
サービス | 特徴 |
---|---|
インターネット | パケット交換方式に基づくネットワークで、世界中のコンピュータやネットワーク機器が接続される。TCP/IPプロトコルを使用し、情報をパケットと呼ばれる小さなデータ単位に分割して送受信する。 |
VoIP(Voice over IP) | パケット交換方式を利用して音声通信を行う技術で、インターネット上で音声通話を行うことができる。IP電話とも呼ばれ、低コストで音声通話が可能になるため、ビジネスや個人での利用が広まっている。 |
VPN(Virtual Private Network) | インターネット上に仮想的な専用回線を構築する技術で、暗号化により安全な通信を実現する。インターネット上の公衆回線を利用するため、リモートアクセスやブランチオフィスなど、地理的に離れた場所からのアクセスに適している。 |
基本的に昨今、主流で使われている通信技術がこのパケット交換方式です。
じゃあ回線交換方式いらないんじゃない?
そんなわけにもいかないようだよ
では具体的に回線交換方式とパケット交換方式の違いはなんでしょうか?
回線交換方式とは?特徴や使われ方をわかりやすく図解で解説回線交換方式とパケット交換方式の違いは通信を確保するかしないか
回線交換方式とパケット交換方式の違いを表形式でまとめました。
項目 | 回線交換方式 | パケット交換方式 |
---|---|---|
通信の確立方法 | 通信のために回線を確保する方式 | 通信のために回線を確保しない方式 |
接続確立にかかる時間 | 接続確立に時間がかかる | 接続確立に時間がかからず、即時に通信を始められる |
通信中の回線の占有 | 通信中は他の通信ができないため、回線を専有する | 通信中は複数の通信が同時に行えるため、回線を有効活用できる |
通信品質の提供 | 専用回線のような通信品質を提供できる | 通信路の効率的な利用が可能 |
代表的な例 | 電話回線が代表的な例 | インターネットが代表的な例 |
電話回線は、代表的なサービスとして電話回線が使われています。
電話回線に使われているのが回線交換方式なら、まだまだ現役というわけだ
古くからある通信技術で、原点というわけだからね。全ての通信方式をパケット交換方式にすることは難しいんだろうね
では回線交換方式とパケット交換方式の長所・短所を比較してみましょう。
回線交換方式とパケット交換方式の長所・短所の比較
以下は、回線交換方式とパケット交換方式の長所と短所を表形式でまとめたものです。
長所短所 | 回線交換方式 | パケット交換方式 |
---|---|---|
長所 | 通信品質が高い | 複数の通信を同時に行える |
安定した通信ができる | 通信の遅延が少なく、高速に通信ができる | |
情報漏洩や盗聴の心配が少ない | 回線使用料が低く、コストパフォーマンスが高い | |
短所 | 通信の遅延が起こる場合がある | パケットの分割・結合による通信中の一時的な遅延が発生する場合がある |
回線使用料が高くなる場合がある | パケットの送信順序が保証されないため、通信品質が低下する場合がある | |
回線の容量に制限がある | パケットごとに宛先情報が必要であるため、通信のオーバーヘッドが発生する場合がある |
意外と回線交換方式にもメリットが多いことが分かります。
こう見ると、回線交換方式にも「通信品質が高い」といったメリットがあるんだね
たしかにパケット通信だと、パケットによるデータ通信だから途切れたりがあるよな
ここまでくると、回線交換方式・パケット交換方式の双方で補填しあっている関係なのが分かりますね。
回線交換方式とパケット交換方式はお互いの弱さを補填してる
パケット交換方式は
- 多重化が可能
- 柔軟性が高い
といったメリットある反面、
- 回線の混雑やアクセス集中が発生する
- パケット送信の順番に届くわけではない
- パケットエラーでデータが消失する場合がある
- ヘッダーなどの付与情報の処理・リサイズが必要となる
- 低遅延だがリアルタイム通信ができない
以下のようなデメリットもありますね。
回線交換方式では、回線を占有する背景から以上のようなデメリットがありません。
回線交換方式・パケット交換方式お互いに弱い部分を補填している関係なのでしょう。
回線交換方式とは?特徴や使われ方をわかりやすく図解で解説回線交換方式とは まとめ
回線交換方式とは、パケット交換方式と合わせて概要をまとめます。
回線交換方式
- 回線交換方式とは一定の回線を確保して通信を行う方式
- 回線交換方式のイメージは片側車線通行止め
- 通信を行う前に回線を確保して通信終了したら回線を開放する
- 特徴1. 通信の安定性が高い
- 特徴2. 伝送効率が悪い
- 特徴3. 通信路を常時確保できる
- 代表的なサービス1. 電話回線
- 代表的なサービス2. ISDN
- 代表的なサービス3. フレッツISDN
パケット交換方式
- パケット交換方式はパケットと呼ばれる小さな塊にデータが分解・送信される
- パケット交換方式のイメージはパズルのような通信方式
- データが分かれパケットになり送信・再結合してデータになる
- 特徴1. データ通信が高速
- 特徴2. データ種に富んでいる
- 特徴3. コストが低い
- 代表的なサービス1. インターネット
- 代表的なサービス2. IP電話
- 代表的なサービス3. VPN(専用回線)
回線交換方式は、旧いデータ通信方式ですが固定電話回線などで使われているため、まだまだ重要な社会のインフラを担っています。
一方でパケット交換方式は現在主流となるインターネットで使われているデータ通信方式です。
どちらが優れているかは使用する目的によって異なるため、どちらかが完全に優れているわけではありません。
通信品質や回線の安定性を求める場合は回線交換方式が適していますが、高速通信や複数の通信を同時に行いたい場合はパケット交換方式が適していると言えます。
今後の技術の進化により、より効率的で高品質な通信方式が開発されていくことが期待できますね