スイッチングハブは有線LANネットワークの中で、
- 複数機器を中継する
といった役割を担ってます。すぐにスイッチングハブの使い方を見る↓
なぜ「スイッチングハブ」を使う必要があるのか、スイッチングハブの使い方や仕組みを図解を交えて紹介します。
スイッチングハブとは?使い方や仕組みを分かりやすく図解でスイッチングハブの役割と特徴
スイッチングハブは、
- データ転送する際にデータの行き先を振り分ける機能を持っている
- 無駄なデータ転送がなく効率の良いデータ通信ができる
といった役割と特徴をもちます。
特にスイッチングハブの各ポートにつながったネットワークケーブルの先に、
- どのようなMACアドレスのコンピュータが設置されているか
- MACアドレステーブルというデータベース内に記憶する
といった処理を行うことが可能です。
参考記事:MACアドレスとは?なぜ必要なのか分かりやすく図解で解説
-
MACアドレスとは?なぜ必要なのか分かりやすく図解で解説
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MACアドレステーブルについて詳しく
でもさ、データの行き先を振り分けるってどうやってやるの?
スイッチングハブは接続先を切り替えるスイッチ機能がある
スイッチングハブは、受け取ったデータを接続されたすべての機器に送信しません。
パケットのヘッダにある宛先情報を見て、接続先を関係する機器のみに切り替えて送信する(スイッチ)機能を要しています。
- スイッチングハブがリクエストを受けとる
- 送信先のMACアドレスを特定(スイッチ)
- MACアドレスに向けてリクエストを送信
以上のように「スイッチ機能」とは、ネットワーク上でデータの宛先を特定した端末へ送信する処理と言えますね。
ハブの中でデータの宛先を識別してるから、スイッチングハブと呼ばれるんだね
スイッチングによるセグメントの分割が可能
スイッチングハブは、接続されたコンピューターや機器を複数のグループ(セグメント)に分けることができます。
ネットワークを小さなグループ・セグメントに分けることで、
- 異なるセグメント間のデータの流れを制限し
- ネットワークの安全性や効率性を高める
といったメリットが生まれます。
スイッチングハブによるセグメント分割のメリット
例えば、社内ネットワークとインターネットへの接続用のセグメントを分けることで、外部からの不正アクセスやウイルス感染のリスクを減らすことができます。
さらにネットワークをセグメントに分割することで、
- 通信がスムーズになりネットワーク全体の通信性能が向上する
- セグメントごとにアクセス制限を設けることができる
といった効果もあります。
同じネットワーク内でも、部署ごとにセグメントを分ければデータ閲覧制限ができるイメージですね。
スイッチングハブでセグメント分割することは、メリットだらけだね
スイッチングハブによるセグメント分割のデメリット
スイッチングハブによるセグメント分割のデメリットは、強いてあげればLAN配線が複雑になることでしょう。
スイッチングハブをカスケードした場合、データ通信がループすることもあるため注意が必要です。
参考:ネットワークハブ vs ルータ!違いと役割・活用法と注意点まとめ
-
ネットワークハブ vs ルータ!違いと役割・活用法と注意点まとめ
ネットワークで利用されるハブ・Wi−Fiルータの違いを先に言っちゃいます。 ネットワークハブ:複数ケーブルを集約して複数 ...
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1つのネットワークを色んな場所で使えば、管理が大変になるもんね。
スイッチングハブとは?使い方や仕組みを分かりやすく図解でスイッチングハブの使い方
スイッチングハブは、基本的に電源とLANケーブルを接続するだけで使える簡単な機器です。
ここでは、スイッチングハブの設定・接続方法・ポート図解を紹介します。
設定や接続方法によってはさらに快適なネットワーク環境を作ることができます。
スイッチングハブの設定・接続方法・ポート図解
スイッチングハブの設定は、
- LANポートの1つとスイッチングハブをケーブルで接続 (分岐)させ、
- さらにデバイスにつなぐだけ
といった、とても単純な方法です。
家庭で使う場合は、
- スイッチングハブをWAN側と接続し
- ハブは電源を入れる
- ルーターからのLANケーブルをハブに繋ぐ
といった手順で接続は完了します。
スイッチングハブとは?使い方や仕組みを分かりやすく図解でスイッチングハブの仕組み
スイッチングハブの仕組みは前述のとおり、
- 各デバイスに割り当てられた固有のMACアドレスを記憶し、
- 2回目以降のデータ通信は該当端末のみにデータ送信を行う
といった仕組みです。
もう少し深く、動画原理や内部構造について触れてみました。
スイッチングハブの動作原理
スイッチングハブの動作原理はフレーム転送方式による、
- ストアアンドフォワード
- カットスルー
- フラグメントフリー
といった3つの転送方式に基づきます。
フレームとは、コンピュータネットワークにおいて「データを転送する際の基本的な単位」を指します。
フレーム転送方式は、それぞれに転送方法の特徴があります。
ストアアンドフォワード
ストアアンドフォワード方式は、受信フレームを
- 一時的にバッファに保存して
- エラーチェックを行い
- 正常なフレームのみを転送する
転送方式のことです。
エラーや破損したフレームは破棄されます。
ネットワークの信頼性を高めるため、データの品質を確認してから転送する安全性があります。
転送速度が遅く高価な機器が必要となりますが、通信品質が良い転送方式です。
カットスルー
カットスルー方式とは、受信したフレームの
- ヘッダー部分をチェックし
- フレームMACアドレスを確認後
- 転送を開始する
転送方式のことです。
エラーチェックやフレームの完全性確認は行われません。
ストアアンドフォワードよりも低いレイテンシを持ちますが、転送中にエラーが検出される可能性があります。
フラグメントフリー
フラグメントフリー方式は、受信したフレームの
- 最初の64バイトをチェックし
- エラーチェックに合格したら
- 転送を開始する
転送方式のことです。
一部のエラーが検出されることがありますが、残りのフレームは早期に転送されます。
ストアアンドフォワードとカットスルーのメリットを組み合わせたモードです。
スイッチングハブの内部構造は5要素で構成される
スイッチングハブの内部構造要素は、
- ポート
- スイッチング
- MACアドレステーブル
- バッファ
- バックプレーン
といった5つの要素から成り立っています。
スイッチングハブの内部構造要素イメージ
接続設定はかんたんだけど、内部を構成する要素は多いんだね
スイッチングハブを構成する各要素の役割は以下のとおりです。
内部構造要素 | 説明 |
---|---|
ポート | ネットワークデバイスと接続され、データの送受信を行う入出力ポート |
スイッチング | ポート間の通信を制御し、宛先MACアドレスに基づいてフレームを転送する |
MACアドレステーブル | 各ポートに接続されたデバイスのMACアドレスとポート番号を登録する |
バッファ | データの一時的な保存やフレームの整列を行うためのメモリ領域 |
バックプレーン | ポート、マルチポートスイッチ、MACアドレステーブルなどのデータ転送バス |
ここまでスイッチングの仕組みを見てきました。
が、スイッチングハブを運用する際に気をつけなければいけない注意点があります。
スイッチングハブとは?使い方や仕組みを分かりやすく図解でスイッチングハブの注意点やトラブルシューティング
スイッチングハブは多くの端末とネットワークをつなぐ架け橋です。
そのため、スイッチングハブが故障してしまうとネットワークが一気にダウンしてしまうことも。運用する上であらかじめ知っておくべき注意点についてまとめました。
注意点 | 説明 |
---|---|
電源の適切な供給 | スイッチングハブには安定した電源供給が必要です。適切な電源容量を確保するためにUPS(無停電電源装置)の導入検討がおすすめ。 |
適切な冷却環境 | スイッチングハブは長時間連続して動作するため、適切な冷却環境が必要です。冷却ファンや通気口を遮らないようにし、適切な空間や冷却設備を確保すると良いでしょう。 |
セキュリティの確保 | スイッチングハブには適切なセキュリティ対策が必要。パスワードの設定やアクセス制御の設定、不正アクセスや攻撃からの保護するための対策が重要になってきます。 |
ネットワークがダウンしちゃったら、仕事だとシャレにならないもんな
また、スイッチングハブのトラブルシューティングについては以下のとおりです。
トラブルシューティング手順 | 説明 |
---|---|
1. 接続の確認 | スイッチングハブとネットワークデバイスの接続を確認する |
2. ネットワークトラフィックの監視 | トラフィック状況を監視し、異常なトラフィックを特定する |
3. MACアドレステーブルの確認 | MACアドレステーブルの正しさを確認する |
4. エラーメッセージの確認 | スイッチングハブが出力するエラーメッセージを確認する |
5. ポートの再設定 | トラブルが特定のポートに関連している場合、ポートの設定を再設定する |
6. ファームウェアの更新 | スイッチングハブのファームウェアを最新に更新する |
7. ネットワークの再起動 | スイッチングハブと関連するデバイスを再起動する |
上記以外にも、ハードを動かした直後に電源が外れていた...なんてこともあるあるです
スイッチングハブのメリットとデメリット
スイッチングハブ導入のメリット・デメリットは以下の通りです。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
パフォーマンスの向上 | ネットワークの通信速度が向上する | コストが高い |
ポート間の独立性 | 各ポートは独立して通信が行える | 設定の複雑さ |
ネットワークセグメンテーション | セキュリティとパフォーマンスが向上する | スケーラビリティの限界 |
スイッチングハブのメリット
メリットの詳細を一覧にまとめました。
メリット | 説明 |
---|---|
パフォーマンスの向上 | スイッチングハブはデータの転送を効率的に行うため、ネットワークのパフォーマンスが向上し通信速度が高速化される。 |
ポート間の独立性 | スイッチングハブの各ポートは独立して通信が行われるため、一つのポートで通信が行われている間でも他のポートは同時に通信を処理できる。 |
ネットワークセグメンテーション | スイッチングハブは複数のセグメント(LANセグメント)を作成できるため、セグメント間の通信が制御され、セグメント内の通信が高速かつセキュアに行われる。 |
スイッチングハブのデメリット
デメリットの詳細を一覧にまとめました。
デメリット | 説明 |
---|---|
コスト | スイッチングハブは他のネットワーク機器に比べて比較的高価である。特にポート数が多いモデルや高性能なモデルはさらに高価になることがある。 |
設定の複雑さ | スイッチングハブは高度なネットワーク機器であり、設定や管理が複雑である場合がある。大規模なネットワーク環境では、適切な設定と管理が必要となる。 |
スケーラビリティの限界 | スイッチングハブは一定のポート数を持ち、拡張性には限界がある。大規模なネットワーク環境では、ポート数の制約によりスケーラビリティに制約が生じる場合がある。 |
スイッチングハブとは?使い方や仕組みを分かりやすく図解でスイッチングハブでVLAN構築。快適なネットワークを実現しよう
スイッチングハブは、ズバリVLANの構築に適しています。
VLANとは仮想LANのこと
VLAN(Virtual Local Area Network)は、仮想ローカルエリアネットワークの略称です。
一般的にネットワークは
- LAN(Local Area Network):物理的ネットワーク
- VLAN(Virtual Local Area Network):仮想ネットワーク
に分かれており、VLANは仮想的に複数LANに分けたり、複数に分かれたLANを1つのLANに見せたりする技術です。
スイッチングハブのポートに接続している端末を管理して、同じネットワーク内でも通信できる端末に制限を設けることが可能です。
LANとVLANの具体的な違いは以下のとおりです。
項目 | LAN | VLAN |
---|---|---|
ネットワークの種類 | 物理的なネットワーク | 論理的なネットワーク |
接続方法 | 物理的なケーブルやスイッチングハブを使用 | 論理的なグループ化による接続 |
ブロードキャストドメイン | すべてのデバイスが同じブロードキャストドメイン内 | VLANごとにブロードキャストドメインが分割される |
ネットワーク範囲 | 比較的小規模な範囲 | 柔軟に設定可能で、小規模から大規模な範囲まで対応可能 |
通信制御 | 直接的な通信が可能 | VLAN間の通信を制御可能 |
セキュリティ | 物理的なセグメント間でセキュリティを確保 | VLAN間でセキュリティを強化 |
柔軟性 | 物理的な制約による限定された接続 | ネットワークの柔軟なセグメンテーションを実現 |
スケーラビリティ | 物理的な制約によるスケーラビリティの限界 | ネットワークの拡張や変更が容易に可能 |
物理的ネットワークのLANと違って、VLANならできることが広がるんだな
スイッチングハブを使うとVLANが使えるようになるんだね
スイッチングハブでVLAN構築する手順
スイッチングハブでVLANを構築する方法には、次の手順が一般的です。
- VLANの設計を行う
- VLANの作成を行う
- ポートの割当を行う
- VLAN間の通信の制御を設定する
- VLANの設定の確認を行う
設定手順の詳細は以下のとおりです。
手順 | 説明 |
---|---|
VLANの設計 | ネットワーク内のセグメントをグループ化し、各VLANにどのデバイスやユーザーを割り当てるかを決めます。 |
VLANの作成 | スイッチングハブの管理インターフェースにアクセスし、各VLANに名前や識別子(VLAN ID)を割り当てて作成します。 |
ポートの割り当て | スイッチングハブの管理インターフェースを使用して各ポートを選択し、それぞれのポートを適切なVLANに割り当てます。 |
VLAN間の通信の制御 | 必要に応じてトランクポートを設定し、複数のVLAN間でデータを転送するための特殊なポートを使用して通信を制御します。 |
VLANの設定の確認 | 各ポートが正しいVLANに所属しているか、トランクポートが適切に設定されているかを確認して、設定の正常性を確認します。 |
ただし、具体的な手順はスイッチングハブのメーカーやモデルによって異なります。
購入した製品のマニュアルやドキュメンテーションを参照することをおすすめします。
VLANによるセグメント分割の方法・イメージ
スイッチングハブを利用してVLANによるセグメント分割する方法を記します。
- スイッチングハブの各ポートごとにVLANを設定する
- MACアドレスをVLANに設定する
- IPサブネットに基づきVLANを設定し、サブネットに異なるVLANを選択する
分割方法の名称と概要は以下のとおりです。
分割方法 | 説明 |
---|---|
ポートベースVLAN | スイッチングハブのポートごとにVLANを設定し、各ポートが異なるVLANに所属します。 |
MACアドレスベースVLAN | デバイスのMACアドレスを使用してVLANを設定し、各デバイスが異なるVLANに自動的に割り当てられます。 |
サブネットベースVLAN | IPサブネットに基づいてVLANを設定し、各サブネットに異なるVLANを選択します。 |
ポートチャネル (VLAN トランキング) | 1 つの物理ポートを使用して複数の VLAN の通信を制御します。トランクポートを介して異なる VLAN 間の通信が可能になります。 |
VLANを使ったセグメントの分割方法は色々あるんだね
スイッチングハブとは?使い方や仕組みを分かりやすく図解でスイッチングハブについて分かりやすく図解でまとめ
スイッチングハブについて全体の概要は以下のとおりです。
- スイッチングハブの役割はデータの接続先をスイッチできること
- スイッチングハブの特徴はセグメント分割ができること
- スイッチングハブは電源とLAN接続で使える
- スイッチングハブの仕組み・動作原理は3種類ある
- スイッチングハブは主に5要素で内部構成されている
- スイッチングハブトラブルによりネットワークが一気にダウンしてしまう
- スイッチングハブに安定した電源供給できる環境が必要。注意しておく
- スイッチングハブはデータ転送を効率的に行える
- スイッチングハブはコストがかかりスケールに限界もある
- スイッチングハブはVLAN環境の構築が得意
スイッチングハブの機能概要まとめは以下のとおりです。
概要 | 機能 |
---|---|
ネットワーク接続装置 | データ転送の制御 |
VLAN管理 | ポートごとにVLANを設定、異なるVLAN間の通信制御 |
デバイス識別方法 | MACアドレスベース・IPサブネットベース |
ポートチャネル | 複数のVLANを1つのポートで転送 |
効率的なデータ転送 | ブロードキャストドメイン制限・パフォーマンス向上 |
セキュリティ強化 | ポートセキュリティ・QoS機能サポート |
拡張性と管理機能 | 新デバイス接続やネットワーク拡張への対応・管理機能とモニタリング機能の提供 |
スイッチングハブを使うことで、1つのネットワークを効率よくセグメント分割したり、転送先を指定して効率的なデータ通信環境を構築することが可能です。
また、VLANによる仮想ネットワークを構築することで、自宅のネットワーク環境でも
- 仕事用ネットワーク
- プライベート用ネットワーク
といった任意のネットワーク構築ができることも、スイッチングハブを導入する大きなメリットと言えるでしょう。
スイッチングハブは高価ですが、希望のネットワークやセグメントが構築できる魅力的なデバイスですね